メーカー 日野 デュトロ
車種 モリタエコノス バキュームカー
年式 2016年式
施工個所 モリタエコノス製のバキュームタンク前方上部の腐食によるタンク穴修理
作業日数 約1日
価格 約100,000円
モリタエコノス製バキュームカーの修理です。
バキュームカータンクの前方上部に穴か開いてしまったとの連絡でした。
バキュームカーは日本独自の和製英語で、正式には衛生車、糞尿収集車、汲み取り車、屎尿収集車などと呼ばれています。バキュームカーは下水道の普及されていない地域などで、し尿の汲み取りや浄化槽清掃などに活躍する衛生車でとても大切な仕事の車です。
入庫時の状態です。穴が開いてある箇所をテープで塞ぎ、応急で使用していました。
応急での使用はできますが、長年この状態での使用はお勧めいたしません。
亀裂部からタンクに負荷を与えてしまう恐れがあると同時に大きな亀裂につながる恐れがあるからです。
モリタエコノス製のバキュームカーの仕組みはタンク内部を真空ポンプで減圧して、大気との気圧差を生じさせて、圧力の差によってし尿などの流動物を直接タンク内に吸引する仕組みです。バキュームカーとして吸引物がポンプ内を通らないため、多様な流動物の吸引が行えるため、ポンプが吸引物により詰まることがありません。
作業日の前日に入庫していただきました。
事前にタンク内を洗浄して、乾燥させてから作業を行うことで翌日から速やかに作業ができる様にと協力していただきました。
タンク洗浄は作業時にタンク内に入る可能性があることと作業中のにおいの低減を考えてのことです。
また、ガスの発生により誤爆を防止するため、前日にタンク内を洗浄して乾燥させてから、翌日作業を行うことで問題の発生を低減しています。
タンク上部に応急で貼ってあったテープをはがすと、このように腐食と割れがありました。タンク内部が液体や固形物により衝撃などが加わり弱くなり、割れが入ったと思われます。その後、そのまま使用しているうちに割れ部分が広がりこのようになったと思われます。
腐食の範囲の確認を行いました。表面の塗装をはがしてタンク全体のパテも撤去してタンク本体の状態を確認しました。
タンクを確認すると写真の範囲でタンクが薄くなっていることを確認したので、その部分を撤去しました。
撤去後、切断面をサンダーできれいに仕上げた後に、同じ大きさのステンレス材を加工切断して外側から作業するにあたり落下しないようにして取り付けました。
溶接して表面を荒く削ったところです。この後が重要で、同じ個所は負荷がかかるので、きれいに切断した材料を、タンクの表面とおなじアールで曲げたものを、補修した後に補強材として溶接しました。
材料を補強材として切断した写真です。
タンクを補修した後の上部にこのように補強の溶接を行いました。このように補強を入れることで同じ個所の割れを防ぐ目的があります。内側から同じように割れや腐食した場合も、2重構造の為以前よりも長く使用する事が出来ます。
タンクを塗装するにあたり、塗装ミストの飛散防止の為にマスキングを行いました。
バキュームカーは腐食する可能性が高いので、補修補強溶接したところに防錆塗装を行いました。このようなことをすることで錆を防止する事が出来ます。
タンクと同色で塗装を行い納車になりました。
特殊車両のバキュームカーは代わりの代車が少ないこと。毎週同じ曜日に回収を行うため、1日でも早く修理を行うことが大切で、お客様にも前日よ夕方から入庫していただき、最短の日数で修理できるために協力していただいたため、前日の夕方から、翌日の15時ごろまでに修理を完了し、納車する事が出来ました。