令和6年10月1日発行号
通巻 435号
株式会社 肉牛新報社 平成元年1月23日第3種郵便物認可
肉牛ジャーナルに掲載させていただきました。
肉牛ジャーナル
肉を考え牛飼いを思う専門情報誌
〇THE BEEF CATTLE MAGAZINE
特集
物流2024年問題をめぐる
現場の声
家畜運搬車を製造していて、より多くの畜産農家の方に、弊社の家畜運搬車製造の取り組みについて知っていただきたく肉牛新報社の肉牛ジャーナルに家畜運搬車の広告を掲載させていただきました。
特集 物流2024年問題をめぐる現場の声
ないそうだ。反対にフェリーを使う場合はフェリー料金が上乗せされるためA氏の支払い額は値上がりしたそうで、年内にもさらなる値上げが打診されているという。運送会社としては法令を遵守しつつ、今抱えている社員数で仕事を回さなければならないのでフェリーを使わざるを得ない場面もあるとのこと。しかし、「枝肉相場のいい時ならまだしも、今のような相場が低迷している中での運賃の値上げは厳しい」とA氏は漏らしていた。
一方で肥育牛の出荷についてはどうだろうか。A農場があるのは関東なので出荷先である東京市場までは時間をかけずに出荷することができる。ただ、時々、例えば青森~岩手~福島といった具合に、遠方から積み合わせながら出荷する場合もあるとのこと。こうした場合も改正前より輸送時間がかかるようになってしまった。涼しい時期であれば影響は少ないが、今のように年々暑さが厳しくなっている夏場のストレスは相当なものだ。そして 「到着が市場の業務終了時間以降になった場合は、積み下ろしが翌日になるためトラックの中で熱帯夜を過ごすことになります。 そうなった時の牛へのストレスは大変なもので、肉質に影響が出るだけでなく、最悪の場合は死んでしまうこともあり得ます」とA氏は続け、夏場の輸送についての懸念を口にしていた。
おわりに
A氏は「我々が運んでもらうのは生き物です。運ぶものが工業製品であれば輸送時間が長くなっても品質に問題はないと思います。しかし生き物の場合、輸送時間が長引けば長引くほどダメージが大きくなり、品質も低下します。これは、昨今注目されているアニマルウェルフェアの観点から見ても問題ではないかと思います。ですから、工業製品と同じに扱うのではなく、夏だけでもいいので特例を作ってもらって、今より長時間輸送ができるようにしてほしいです」と訴えた。
またそれと同時に、「東京市場で熱帯夜を過ごした肥育牛は、日の出から積み下ろしまで太陽が照りつけるなかトラックに積まれた状態です。暑いなか輸送された後に熱帯夜を過ごし、そこから積み下ろしまで日差しに晒されるのは酷です。トラックの中と外気温はだいぶ温度が違いますから、できればトラックが待機する場所に屋根をつけてもらえるとありがたいです」と続けた。
今回の基準の改正はトラック運転手の労働環境の改善を目的として行われた。その目的自体は十分理解し賛同するが、それによって牛に悪影響が出てしまうことに関しては、A氏が訴えるように、別途、特例を設けるなど、何らかの対策が取られることが望まれる。
(矢野 仁得)
参考文献
厚生労働省 パンフレット 「トラック運転者の労働時間等の改善基準のポイント」
厚生労働省北海道労働局 帯広労働基準監督署からのお知らせ
資料「トラック運転者の改善基準告示 (2024年4月1日施行)」
牛を考え牛飼いを思う専門情報誌
家畜運搬車製造にかかわる弊社として
掲載させていただきました。
令和6年10月1日発行(毎日1日発行) 第37巻第10号(通巻435号)
平成元年1月23日第3種郵便物認可 ISSN1344526×