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昭和26年4月4日第3種郵便物認可
令和5年5月1日発行(月1回1日) 第73巻 第5号
2023年 DAIRYMAN 5月号
世界の酪農を知り、世界の酪農とともに前進しよう!
デーリィマン
VOL.73 No.5
ISSN0416-6272

視点 2023

加速する廃業への対応

技術ワイド
早めの対策で暑さに備える
➀牛舎の熱環境見守りサービスとは
➁畜舎専用の放射冷房システムの効果
ミルクマイスター ® 高砂のI♡DAIRY

新企画
牧場を彩るガーデニング

各地のホルスタインショー入賞牛紹介
乳用種雌牛評価成績2023-2月/ゲノミック評価2023-2月

視点
2023 加速する廃業への対応

乳代金が入っていて手元に現金があるからといって、何も考えずに支払いを続けていると、資金繰りに行き詰まる。資金を借り入れる際に短期借入金で調達すると、それが固定化していって、いずれは返済できなくなり、倒産ということにもなりかねない。
コロナ禍の飲食店を思い出してほしい。 客数が落ち込む時期も人件費や家賃などが一定程度出ていく。それを借入金で賄う場合の償還財源は何か。店を再開した後の売り上げは、その時期に発生する費用に充てられる。短期借入金を調達していても、その後の売り上げから短期のうちに返すことはできない。このときの借入金の償還財源は、その期間の売り上げから現金として出ていく費用を除いたもの、すなわち利益と減価償却費なのだ。減価償却費は他の長期借入金の返済に充てる予定があるかもしれないので、その残りと利益の分しか充てられない。
毎年の償還財源を見積もって、ある程度の償還期間を確保した長期借入金で対応しなければ、資金繰りが厳しくなる。言い換えると、償還財源と償還期
間を冷静に考えることによって、売上高と費用の逆転時期を乗り越える方法が見えてくるのである。

減価償却費を元金の償還財源にするなど設備投資の計画は無理なく

酪農経営は一定の設備投資が必要で、そのために多額の借り入れを行うこともある。その返済のための資金繰り(財務収支ともいう)も経営に大きく影響する。
資金繰りに関して、幾つかの資料では、売り上げから費用や生活費を差し引いた残りを「償還財源」とするような記載が見られる。 このような引き算の考え方では、費用の増減で償還財源の額が変わってしまう。 「減価償却費を償還財源にする」ことを計画的に設定しておけば、 費用が増加したり売り上げが減少したりしても、償還財源は確保される。 費用が増えても売り上げの範囲内であれば、 短期借入金によって賄うことで、その期間中の売り上げで返済できるはずである。売上高が費用を下回っている場合は、償還財源と償還期間を冷静に考えて、差額部分を長期借入金で対応する必要性を先に述べた。 設備投資のための借入金は本来、 設備投資の計画作成段階において、元金の償還財源を減価償却費とし、利息部分は費用として計上する計画を立てるべきで、これにより無理のない償還が可能になる。酪農経営には、日常的に目の前に現金がある。 その現金に色がついていないからといって、 あるものを何

図2 固定資産の購入と減価償却費による償還のイメージ

DAIRYMAN 第73巻 第5号 2023年5月号
昭和26年4月4日第3種郵便物認可
令和5年5月1日発行(月1回1日)

発売所
デーリィマン社
発行所 札幌本社 札幌市中央区北5条西14丁目
    東京本社 東京都豐島区北大塚2丁目B