令和7年4月1日発行号
通巻 441号
株式会社 肉牛新報社 平成元年1月23日第3種郵便物認可
肉牛ジャーナルに掲載させていただきました。
肉牛ジャーナル
肉を考え牛飼いを思う専門情報誌
〇THE BEEF CATTLE MAGAZINE
特集
今から備えよう! 暑熱対策
す。一般的には40~80日程度に設定されていると思います。
VWPを設定する意義は「メリハリある授精戦略の「ため」です。例えばVWPを意識していない場合、分娩後30日で授精してしまったり、分娩後100日以上が経過しているのに授精していなかったりといった事案が発生します。早すぎる授精は受胎率の低下(=授精したのに受胎しなかった)を招くこともありますし、遅すぎる授精は妊娠率の低下 (=発情見逃し)を招きます。
休む時は休む、授精適期になったら戦略的に授精する、というメリハリが大切です。このVWPを繁殖改善のため、1つの指標として覚えていただけると幸いです。
繁殖データ 15 ~ JMR ~
分娩後の母牛の休息期間であるVWP (自発的授精待期期間)についてご紹介しました。続いては、VWPをもとに算出する「JMR」についてご紹介します。
JMRとは、フランス語で「Jours (日) Moyen (平均の) Retard (遅れ)」という意味で、牛群の受胎が理想値からどのくらい遅れているかを表す指標です。
JMRは、 分娩後の日数からVWPを引いた日数 (JMRペナルティー)の合計を平均化したもので表されます。任意に設定したVWPを過ぎると 「ペナルティー (JMRペナルティー)」が加算され、妊娠を確認したらペナルティーは0になります。つまり、JMRペナルティーは妊娠の遅れによってもたらされる「経済的損失」を意味し、一般的に妊娠が1日遅れるごとに経産牛1頭あたり約1500円の損失とされています。
例えばJMR(JMRペナルティーの平均値)が30日で不受胎牛が50頭いる繁殖農家さんがいたとします。経済損失1500円/日・頭とすると、経済的損失は30日×1500円×50頭=225万円となります。
このように、 JMRは長期不受胎牛の成績も含む繁殖成績の管理指標として有用です。また、JMRを計算することで、繁殖管理の潜在的な経済的損失を把握することができ、繁殖管理の具体的な目標となるのではないでしょうか。
今回は、具体的な経済損失を計算することができる「JMR」という指標についてご紹介しました。現在の繁殖管理でどのくらいの経済損失が生まれているのかを計算することは、言い方を変えると、繁殖管理を改善することでそれだけの利益が生まれるということです。今一度、現在の繁殖成績を見直してみませんか?
牛を考え牛飼いを思う専門情報誌
家畜運搬車製造にかかわる弊社として
掲載させていただきました。
令和7年4月1日発行(毎日1日発行) 第38巻第4号(通巻441号)
平成元年1月23日第3種郵便物認可 ISSN1344526×