メーカー トヨタ
車種 コースター HDB51
年式 2016年式
施工個所 コースターの右側面の外板パネルの交換
作業日数 約20日
トヨタのバスの入庫です。
コースターの右側面を接触させてしまった事故でした。
バスの右側面が写真のような傷がありました。
運転席の後側から後方にかけての傷でした。
リヤタイヤのホイルアーチ部分に関しても歪みが生じていました。
下側の写真で、パネルの接合部分の上側を見ると数ミリの段差がありました。
運転席後側のパネルです。入庫時の写真です。接合部分に塗装の段差がありました。この部分は以前にどこかで修理などで手を加えられていると判断しました。この状態で板金修理という作業は行うことが難しく、お客様と相談して交換という選択をしました。
修理する前に前方から後方にかけて糸を張りました。これはパネルがどれ位内側に凹んで切るかを判断するために行いました。
歪みが大きいことと、通常は外板パネルは1枚構造ですが、継ぎ目の状況、パネルを押したときに2枚構造になっていると判断、2重にパネルが張られているとため交換作業になりました。
交換作業に入る前にバスの右側のガラスを運転席後からすべて外しました。
サイドパネルがガラスの下側まで入っており、その部分にスポット溶接で取り付けられているからです。
同時に内装に傷がつかないように、養生しました。
2重構造になっていると判断したパネルを取り外しました。
すると、1枚構造の外板パネルの上に2枚目のパネルが張り付けられていました。想像はしていましたが、傷を隠すためにパネルをシーラーで固定して、取り付けられていました。
シーラーとは、
(1)ボディパネルの接合部の段差をなくする
(2)錆びの発生を防止する
(3)水漏れを防止したり気密性を高める
(4)下地への塗料の吸い込みを抑える
(5)下地からのヤニなどのしみ出しを抑える
(6)上塗りの仕上がりをよくする(サーフェーサー)などの目的で塗布されるぺースト状のもので、使用目的に合わせて塩化ビニール、エポキシ樹脂、合成ゴムなど種々の材料が使用される。
トラックの自動車修理工場の場合には(1)、(2)、(3)、(6)の目的で使用されることが多いのですが、今回のシーラーは接着のために使用されていました。
前回の事故を起こした時に安易な方法、安価(?)な方法で修理した車両であると思われます。見た目はある程度きれいになっていたのですが、同じ個所を2度目となると交換する判断をしました。
パネルにはシーラーにて接着されておりました。写真の真ん中より下の空洞部分にあるべきパネルは前回の事故で破損したためなのか、切断された状態で上部にパネルが張られていました。
前回の事故ではの損傷だと思われますが、1枚目の外板パネルの下にある骨格が大きく歪んでいました。
写真の右側がもともとのパネルの上張ってあった外板パネルです。このような感じで2重構造になっていました。
当社では、この部分も含めて修理することが最善と考え、交換作業を行いました。
内装を見ると前回の事故での損傷と考えられる傷がありました。右側の表面が切れている場所があります。この部分は座席の側面なので、座席を外さないと確認できないため通常の使用ではわかりずらいところだと思われます。
作業を始めるにあたり、右側の座席の一部を取り外しました。それに伴い右側側面の内張りを外しました。
右外板パネルをはずしました。下側フロアー面の骨格が内側に歪んでいたため、フォークリフトを治具に使用して、外側パネルが取り付けられたときに基準の位置になるように引き出し(引っ張り)作業を行っているところです。
引き出し作業が終わり、後方のパネルをはがしたところです。
パネルはスポット溶接にてとりつけられております。丁寧にドリルで取り外します。
スポット溶接(spot welding)とは、金属の接合法である溶接の一種で、点で接合されることからこの呼称になります。
スポット溶接には大きく3つあり、抵抗スポット溶接、レーザースポット溶接、シーム溶接があります。弊社、トラック修理工場では抵抗スポット溶接を使用しています。
抵抗スポット溶接とは
2枚の母材(被溶接材料)を電極棒で加圧しつつ電流を流し、その接触面に発生する抵抗熱により、内部で金属が溶解凝固をおこて溶接する方法で、電気抵抗を利用した溶接で抵抗溶接ともいわれています。
電極棒は空冷式と水冷式があり、連続作業を行うことがあるため冷却水式の物を使用しております。比較的薄い板(薄板板金)の接合に用いられることが多いのがスポット溶接の特徴です。
弊社では3枚以上の板金を一度に接合することも可能で、片面からの作業も可能な機械を使用しています。
外した後に溶接部分をサンダーで仕上げます。フロアー部分は鉄板を溶接して引き出した後に切断して交換しました。
内装は必要最低限の分解です。しかし、右側はこのように分解作業になりました。
写真の右側の白く見えるものが養生されたシートです。
床面に見える紫色のシートは防炎シートで溶接するときのスパッタを防止するために右側全体をこのシートで養生しました。
スパッタとは、溶接は、金属と金属を溶かしあってつけるときにまた、鉄をサンダーにて切削研磨するときに出る火花の中は、切削時などにより金属の粒が飛散します。飛散した金属が冷えると、付着したり、ビニール類などに付着すると溶けるる恐れがあります。親族が冷え固まった粒のことをスパッタといいます。
骨格をすべて修正して、交換する部分を交換した後にパネルを取り付けます。
パネルは2枚物なので中間でこのように仮合わせしたところです。
下側も鉄板ビスで骨格に一度借り合わせしています。下側はバイアスブリップにて固定してあります。
内側の骨格戸の隙間を必ず確認します。隙間があると歪みの原因になります。また、走行中骨格との干渉により異音の発生などの原因にもなるのでしっかりと位置関係を確認します。
パネル取付の塗装をはがして溶接に支障がないようにします。その後、スポット溶接にて歪みが出ないように溶接順番を決めて骨格と溶接接合していきました。
バスのパネルを骨格に溶接が終わり、接合部分をパテ仕上げしたところです。
リヤタイヤの上部はパネルを接合したことがわからないように、パテを塗布、赤外線ヒーターにて完全乾燥、サンダーや手作業で仕上げ。この工程を3回繰り返し塗装後の歪みがないようにしました。
塗装が終わった写真です。
内装を掃除して、内張りの組み立て、イスの取り付けをしました。
外したガラスの取り付けを行います。ガラスは接着の為、走行しても取り外れることがない24時間そのままにしておきました。
外装と内装を再度掃除洗車して納車になりました。