メーカー 三菱ふそう
車種   FP74 トラクター
施工個所 三菱スーパーグレートの下回り防錆塗装を行いました。型式はFP74HDRです。
作業日数 約4日
価格   約380,000円

新型スーパーグレートで型式がFP74HDRの下回りを赤色で防錆塗装の依頼がありました。

現行型のスーパーグレートです。
新車納車前の入庫なので、傷がないかを確認します。

凍結防止剤や融雪剤などの影響で鉄は腐食してしまうため、錆を防止するために、鉄の部分を塗装していきました。
凍結防止剤は、凍結温度を下げて凍りにくくするもので、降雪に備える商品です。
凍結防止剤を詳しく説明すると、塩化ナトリウムです。塩化ナトリウムの凝固点は、-20度程度です。融雪剤(塩化カルシウム)と比較するとその温度は高くなっていますが、塩化ナトリウムの特徴は持続力を長く保つことができる効果です。だから、凍結防止剤(塩化ナトリウム)は、降雪に備えることに適しています。
融雪剤は、熱を利用して雪を溶かすもので、雪が積もった道に撒くのに適しています。
融雪剤を詳しく説明すると、塩化カルシウムです。 塩化カルシウムは、凝固点を-50度程度まで引き下げることができるということです。ー50°まで下がると、極寒地(寒冷地)でも多くの雪を解かすことができます。融雪剤(塩化カルシウム)の効果は、数分から十数分程度で現れるので即効性に優れています。

UREA(尿素)を用いることもあります。
UREA 尿素は、金属やコンクリートへの負荷が小さいという利点があります。散布する場所を選ばないという利点があります。直接植物にかけてしまうと富栄養になってしまいます。また、アルカリ性の物質と触れてしまうとアンモニアが発生して匂いが出ることがあるので注意が必要です。
四季のある日本では、防錆塗装をすると、長期間にわたり錆などを防ぐ効果が期待する事が出来ます。

プラスチックの部分で外すことができるものはすべて取り外していきます。

ゴム製のリヤフェンダーを取り外して、トレーラーの踊り場部分のアルミを曲げ加工した部品も外していきます。

前方部分も外していきます。まずは、フロントバンパーを外します。

キャビンの横のコーナーパネルも外します。これは、キャブを支えている部分(キャブマウンティング)を塗装するために飛散を防止するためと、作業性の向上を考え取り外します。黒い部分はすべて防錆塗装で処理して赤色の塗装をしていきます。

エンジンサイドの防音防止のカバーも取り外します。

部品を取り外すことで、フレームをきちんと防錆塗装することができます。

塗装した後の工場の床を見るとコンクリートの床一面真っ赤に染まるくらい塗料が飛散します。そのため、細かいところまで、特にキャビンに飛散しないようにしっかりマスキングを行いました。

作業者は防護服を着て作業を行いますが、防護服含めて赤く染まってしまいます。トラックのアルミ製のインタークーラー、エアコンのコンデンサーは塗装をしてしまうと性能が低下する可能性があるため塗装は行いませんでした。
トレーラーホースについては、ゴム製なので丁寧にマスキングを行いました。塗装するにあたり、脚立を使いトレーラーホースに塗装が掛からないようにしました。
トレーラーホースとは、トラクタ(写真の車)についている連結装置を介してトレーラー(引っ張られる後部の台車)をけん引きする際に、トレーラーのブレーキを制御するために使用されるホースのことです。
詳しくは、トレーラーサービスマニュアルを参考にしてください。

左側についている燃料タンクは、アルミ製なので装着状態で塗装しました。燃料タンクのバンドは鉄製なのでアルミの燃料タンクのみをマスキングしていきました。
ハブドラムは塗装しないという指示だったので、アルミホイルを取り外して、ハブドラムをマスキングして塗装しています。
ハブドラム(ブレーキドラム)とは、タイヤ付きのホイールがナットにより固定され回転するところで、この車両はドラムブレーキという構造なので、ブレーキの外側にベアリングを介して固定されているもので、ハブドラム(ブレーキドラム)といわれています。

エアサスペンション車なので、後側にエアー式のスプリングが使用されております。エアースプリングについてもゴム製の為塗装は行わないので、見えなくなってしまう内側までマスキングを行いました。
フレーム後端部、ナンバー枠の後側にアルミ製のエアータンクがあります。これについても、取り付けバンドが鉄製の為、バンドを残してタンクのみをマスキング処理を行いました。

取り外したリヤフェンダーステーや、反射板のブラケット、鉄の部品に関してはすべて塗装していきました。

見えなくなってしまう部品に関しても、しっかりと裏表部分を塗装します。これは、塩水はどんなところにも入り込むのでこれから先少しでも錆を防いでいきたいと考えるので、ひとつ1つの部品に関しても塗装しました。

サイドバンパーも取り外して、後面に関しても塗装します。また、空中に浮遊させて作業しました。塗装位置を上げることにより作業の効率が良くなるとともに、むらのない塗装が行うことができるからです。

乾燥を確認した後に、プラットフォーム取り付けていきます。カプラー上面はトレーラーと接触することと、モリブデングリースを塗布するため塗装の必要性がないと考えるのと、トレーラーと接触した時にモリブデングリスが黒いので、赤い塗膜が黒色のグリスの中に入ることを防ぐために塗装しませんでした。また、この部分が腐食したという車両は今までないため塗装は行いませんでした。製造番号が記載されているプレートについては、今後修理するときや部品を注文するときには製造会社と製造番号が必ず必要になり、塗装しないことで、部品の注文が速やかになるためマスキング処理を行いました。

鉄製の部分が赤に塗装されています。こうなることで、塗装にない車両と比べて錆に強くなり長く使用することができます。

プラスチック部分はプラスチックの素地のままです。アルミ部分もオリジナルのままになっています。

ランプ類のコネクターに関してもマスキング処理を行っております。
取り外した部品を取り付け、電気周りの点灯確認を行います。その後、キャビンを清掃して完成になります。
完成後、入庫時の写真と見比べて、相違がないことを確認して納車になります。
海沿いで塩水がかかる恐れがある地域や積雪のある地域、融雪剤の散布がある地域の方は、錆びを防止して、腐食させないために、新車時に塗装することを勧めます。