令和7年5月1日発行号
通巻 442号
株式会社 肉牛新報社 平成元年1月23日第3種郵便物認可
肉牛ジャーナルに掲載させていただきました。
肉牛ジャーナル
肉を考え牛飼いを思う専門情報誌
〇THE BEEF CATTLE MAGAZINE
特集
令和6年度枝肉共励会の傾向と
種雄牛別成績の総まとめ
東京・大阪・神戸市場の種雄牛別成績を振り返る
雌も出品頭数の1位・2位は丸若土井・丸池土井の順で、丸若土井はバラ厚と歩留基準値に加えてMUFAも1位となった。また忠味土井は丸若土井と並び雌でもMUFAが1位で脂肪質に秀でていたのに加え、BMSNo.は9.0で2位となった。
但馬牛の雌で目を引くのは出荷月齢の長さとMUFAの高さだろう。雌の長期肥育とそれによる脂肪質の良さに対する需要が、こうしたところに現れているものと推察される。
但馬牛以外
但馬牛以外については表15にまとめた。但馬牛以外は出品牛の性別が雌に偏っており、去勢で5頭以上の出品があったのは福之姫と若百合のみであった。
雌は前年度と同じく出品頭数1位は福之姫であった。神戸市場でも夏百合・知恵久の脂肪交雑に関する成績が素晴らしい上にロース芯も非常に大きく、歩留基準値が高かった。その2頭に迫る成績だったのが白隆鵬で、枝重では500kgを超え、ロース芯でと歩留基準値では夏百合と知恵久を抑えて1位、BMSNo.も夏百合に次いで3位であった。 諒太郎は上記3頭に勝るとも劣らない好成績で、枝重は500kgを超えて1位であった。また満天白清はMUFAが65.1%を記録し、但馬牛に匹敵する数値を記録した。
終わりに
和牛については今回から5等級率だけでなく、BMSNo.12率、10以上率も算出してみたが、改めて脂肪交雑の向上が急速に進んでいることを実感した。また、脂肪交雑だけでなく年々歩留りも高まり、改良・繁殖農家の育成技術・肥育農家の肥育技術が向上していることが窺えた。
そうしたなか、表4で触れたように、27ヵ月齢未満の若齢出荷でも枝肉成績が大幅に向上している。生産コストの高止まりと消費の低迷により利益を得ることが難しい状況であることから、そうした状況を打開するための1つの手段として、黒毛和種去勢については早期出荷を検討することも必要かもしれない。
交雑種についても目覚ましい勢いで枝肉成績が向上。脂肪交雑はもとより、歩留りの向上は目を見張り、A等級率の大幅な上昇が見られたのは特徴的であった。実際に食肉市場で枝肉を目にしても、サシだけでなく枝肉の作りやモモ抜け、 脂肪質など和牛と見紛うほどの素晴らしい枝肉が増えていることを実感した1
年であった。
以上、令和6年度の枝肉共励会を振り返ってきたが、ここ数年は種雄牛の回転が早まり改良も進んでいることから、今年度はどの種雄牛の産子が増えてどのような枝肉が見られるのか、期待しながら取材したい。最後に、共励会の取材や資料の提供にご協力くださった関係者の方々に深謝いたします。
牛を考え牛飼いを思う専門情報誌
家畜運搬車製造にかかわる弊社として
掲載させていただきました。
令和7年5月1日発行(毎日1日発行) 第38巻第5号(通巻442号)
平成元年1月23日第3種郵便物認可 ISSN1344526×