DAIRYMAN デイリーマンに広告を掲載させていただきました。

昭和26年4月4日第3種郵便物認可
令和6年12月1日発行 (月1回1日) 第74巻第12号

2024
DAIRYMAN

デーリィマン
VOL.74 No.12
ISSN0416-6272

視点 2024
スマート酪農への期待と課題

デイリーマン DAIRYMAN 家畜運搬車 家畜 畜産 牛 豚

技術ワイド
効率良く繁殖成績を高める
➀牛群検定で繁殖管理をチェック
➁代謝プロファイル試験で成績低迷の原因つかむ
➂汎用カメラ用いた低コストなモニタリングシステム

各地のホルスタインショー入賞牛紹介

デイリーマン DAIRYMAN 家畜運搬車 家畜 畜産 牛 豚

対する生産方式革新事業活動の内容は 1 スマート農業技術を活用して農産物の生産または農業経営の管理に取り組むこと②1の実施による農作業の効率化などの効果を十分に発揮させるために併せて行う農産物の新たな生産方式導入に取り組むこと31および2の事業活動の全てに相当規模で取り組むことーとされている。ここで、相当規模とは当該農業者の売上高の半分以上が上記①②によるものであることとされている。酪農においては表2のようなものが挙げられる。何ら目新しいものはなく、これまでに行われてきたことに資金的な支援をするということである。
 技術の開発、サービスの提供側に対する開発供給実施計画の対象は、1画像センシングなどによる発情・疾病検知などの生体情報取得の省力化に係る技術2自動洗浄ロボットなどによる畜舎内の衛生確保の省力化に係る技術③GNSS (全地球測位衛星システム)を活用した放牧牛の位置情報把握など管理の省力化に係る技術④自動給餌機などの給餌・給水作業の省力化に係る技術5堆肥化ロボットなどによる家畜排せつ物の管理の省力化に係る技術⑥搾乳ロボットなどによる搾乳作業の省力化に係る技術一である。これらの導入による生産性向上に関する目標が労働時間60%削減だ。畜産における目標は全て労働生産性のみである。
 酪農家にとって、スマート畜産技術の導入時における資金支援と税制上の特例措置は有効だと思われる。しかし、導入後における機器のメンテナンス、特に搾乳ロボットでは費用が発生する。貸付金の使途に長期運転資金が設定されているが研修費しかなく、農業者にとっては機器のメンテナンス費があるとさらに本法の効果が大きくなるだろう。

画像による個体識別技術の確立に期待

 スマート畜産技術に関しては前述したように、開発の傾向から画像によるセンシングを用いた技術がさらに製品化されていくと考えられる。画像による個体識別の技術が確立されることを期待したい。アニマルウェルフェアに関しては、スマート畜産技術を用いて時間的に連続で評価できるシステムが今後開発されるものと思われる。筆者はWelfare Quality (動物福祉に関するヨーロッパ最大の研究プロジェクト)、OIE (国際獣疫事務局、通称WOAH)のコードなどにおける指標を整理して評価するシステムの構築を行っている。5つの自由 (1飢えと渇不快からの自由 3 痛み・傷害 病気からきからの自由②きからの自由②不快からの自由3 痛み・傷害・病気から4恐怖や抑圧からの自由 5正常な行動を表現するの自由自由) の各要素を評価する際に何をセンシングするか、例えば、 動作行動センシングから複数のアニマルウェルフェアの指標を評価するようなシステムを開発している。
 一方、オランダのワーゲニンゲン大学のデーリィ・キャンパスでは、酪農に関連するデータを連携させたデータセンターを構築している。通常の乳牛に関するデータのみならず飼料栽培に関する気象、土壌データ、食肉処理場での内臓検査のデータなども連携されている。ここで得られたビッグデータをどのように活用していくかが課題とされている。
 日本ではデザミス(株)が金融機関と連携し、牛を動産 (担保) とすることで資金面でのメリットが得られるようなシステムの開発が進めている。今後、ステークホルダーや金融あるいは流通と連携されるようになり、 このような環境の中で酪農が営まれていくのではないか。

DAIRYMAN 第74巻 12月号
昭和26年4月4日第3種郵便物認可
令和6年12月1日発行(月1回1日)

発売所
デーリィマン社
発行所 札幌本社 札幌市中央区北5条西14丁目
    東京本社 東京都豐島区北大塚2丁目B69 ITY大塚ビル3階